あの頃の夢を、叶えてあげる

エッセイ書きたかったんだった。ずっと忘れてた。

意識は輝いている(物理的に)


  以前、女友達に言われて印象に残っている言葉がある。
「かめちゃんを呼んで、振り向くときの顔がいい。何度でも呼びたくなる」

 なんのこっちゃと思っていたが、彼女の言っていたことが最近ちょっとわかったような気がしている。これは、人間の意識が可視化された現象なんじゃないかと。

 
 彼女が指摘したのと同じ現象が起きていることに気づいたのは、ステージ上で話す自分を動画で見た時だ。その場の感想を求められた私は、始めはあらかじめ準備していた内容を、順調にしゃべっていた。その時は何事も起きていない、普通だった。

 しかし途中で突然、外から横槍が入ったわけでもないのに、自分の中の何かがはじけ飛んだ。用意していた優等生的な回答ではない、特段言うつもりもなかった、内容の薄っぺらいほんとにただの感想が勝手に飛び出した。もはや内容を覚えてもいないが、たぶん「すっごく楽しかったですっっ!」みたいなノリだったと思う。ちなみに、言っている最中は本人も自分が何を言っているかよくわからないブッ飛んだ状態になってしまっている。

 そのとき、話している私から一瞬キラッと、フラッシュのようなまたたきが見えたような気がしたのだ。びっくりした。なんだこれは。しかし悪い印象ではなく、自分のことながら率直なところ、それは明らかに”輝き”だった。美しかった。実際にその場にいたオーディエンスから後に、
「あのぶっ飛んだような瞬間が一番よかった」
と言われたのを、動画を確認しながら思い出した。私だけではない、他人にも見えていたことは間違いない。 


 これ以外にも、同じような現象が時々私には起こっているようだった。さらに子どものころのビデオを見たりすると、芝生の坂道をワーキャー言いながら大はしゃぎで何度も転がり落ちている時などに、同じような輝きを放ちまくっていた。

 

 

 この輝き、きらめきは一体何なのかを考えたときに、「純粋な”意識”が外に向けて開かれた状態」なのではないかと思い至った。

 この輝きが表れ出るには明らかに共通した条件がある。まっさらであること。普段人間は頭で多くのことを考えながら、緊張状態のもとで生きている。そういった硬さのようなものや、よこしまな考えだったり、余分なものが一切ない状態。思いがけずスポンと入った、エアポケットのような瞬間だ。
 たとえば、話しかけられて「うん?」と返事をするその一瞬の反応は、ただただ無心だ。そしてその無心なままの意識が相手へと一気に放出され、その流れが非常に感じ取りやすい。ステージ上で話していた時は、それまで理性的に抑えていた自分自身が、何かの拍子に反動で一気に溢れ出したのだろう。無意識のようでもあるが、必ずしもすべてが無意識というわけではない。むしろ無意識と有意識が一致した状態と言えるかもしれない。


 ここまで自分の話ばかりしてしまったが、このように私の場合は瞬間的な「またたき型」である。だが、おそらくその光り方、輝きの種類などは人によって異なる。

 たとえば芸能人、特にアイドルと呼ばれる方々は、(照明などの効果ももちろんあるはずだが)常に目がうるうるしてキラキラ輝いていたりする。これも同じような現象なのではないか。彼らは一瞬だけではなく、それを放ち続けることができる人たちだ。潜在的に持っている存在の華やかさ、そして自分そのものをさらけ出す強さや覚悟があってのことだと思う。よく言われる「オーラを出し入れできる」という人は、それをコントロールすることもできるのだろう。

 

 

 人の意識。それは”魂”と言い換えると、ちょっと大袈裟だろうか。
 必ずしもきれいなもの、ポジティブなものだけではないだろう。だがそれも含めての、まっさらの状態の意識。誰もが持っている。それが輝きを放つものなのかと思うと…なかなか、人って素敵だ。